ジムニーノマドの契約書にハンコを押した瞬間、あるいは抽選申し込みを済ませた瞬間から、多くの人の頭は「早く来ないかな」でいっぱいになります。私も新型ジムニーが出るたびに同じ気持ちになるので、その感覚はよく分かります。

ただ、待っている間にひとつだけ、静かに進行しているものがあります。今乗っている車の価値が、毎日少しずつ落ちていることです。

ノマドの納期は、受注再開後も半年〜1年、注文時期によっては2年以上というのが2026年時点の現実です。仮に1年待つとすれば、その1年で今の車は1年分古くなり、1万km前後走り、車検も1回はさむかもしれません。ここを何も考えずに過ごすと、数十万円単位で損をします。

私は元ディーラー整備士として10年以上、累計1,000台以上の車を点検整備してきました。下取り車の状態を査定担当と一緒に見る場面も数えきれないほどありました。その中で、乗り換えの「段取り」だけで損をしている人を本当に多く見てきました。車そのものではなく、売るタイミングと準備の差です。

この記事では、ジムニーノマドの納車を待つ人に向けて、今の車をいつ・どう売るのが最も得なのかを、整備士の視点で具体的に解説します。私自身もJB64ジムニーのオーナーなので、ジムニー乗り特有の事情(リセールが強い、手放すのが惜しい、代わりが効かない)も踏まえてお話しします。

合わせて読みたい:ジムニーJB64を下取りに出すと損する理由|買取との差額を元整備士が実例で計算

ジムニーノマドの納期は今どれくらい?【2026年最新】

受注再開後の納期状況(抽選・数ヶ月〜1年待ち)

まず前提の整理です。ジムニーノマドは2025年の発売直後に生産能力を大きく超える注文が入り、注文受付が一時停止となりました。その後スズキから、2026年1月30日に注文受付を再開すると正式に案内されています。しかも通常の先着順ではなく、2026年1月30日〜2月28日を「納車順を決めるための抽選申し込み期間」とする方式が採られました(出典:スズキ公式「ジムニー ノマド受注再開についてのご案内」)。

ここで誤解しやすいのが、抽選は「買えるかどうか」を決めるものではなく「納車の順番」を決めるものだという点です。3月1日以降は通常の注文受付に戻っています。

肝心の納期ですが、2026年時点で報じられている一般的な目安は次のとおりです。

  • 抽選で早い順番を得た人:最短で2026年8月末〜9月頃から順次納車
  • 抽選の順番が後ろの人:2027年2月以降になるケースも
  • 2026年3月以降の通常受注:おおむね2〜3年後という見通し

(出典:RV4ワイルドグース「ジムニーノマドの納期予想」

なお2026年1月の受注再開にあわせて一部仕様変更された2型に切り替わり、2026年7月1日に発売されています。安全装備の追加などにともない価格も改定されました。つまり、今から契約する人ほど「長く待つ前提」で計画を立てる必要があるということです。

納期が読みにくい理由

ノマドの納期がここまで読みにくいのには、いくつか理由があります。

ひとつは生産地です。ノマドはインドで生産され、船で日本へ運ばれてきます。国内工場の車のように「ラインに乗ったら翌月には店頭」という流れにはならず、生産・輸送・国内での登録準備という工程が積み上がります。

ふたつめは増産の影響です。月間生産台数は当初の水準から段階的に引き上げられており、バックオーダーの消化ペースは当初予想より早まったとされています。ただしそれは同時に「納期の見込みが途中で変わる」ことも意味します。半年前の案内と今の案内が違う、というのは珍しくありません。

みっつめは販売店ごとの配車です。同じ月に契約しても、店舗への割り当て台数と、その店舗内での順番によって納車時期は変わります。ジムニーやジムニーシエラでも長納期が常態化しており、ノマドはさらにその上をいく状況です。

オプション・色の選び方で納期が変わる話

ここは整備士というより、ディーラーの現場を見てきた立場からの話になります。

納期に効きやすいのは、まずトランスミッションです。ジムニーシリーズ全般で、AT車のほうが注文が集中し、MT車のほうが比較的順番が回ってきやすい傾向があります。ジムニー/シエラの納期情報でも、MTグレードのほうが短めに案内される例が多く見られます。

次に色です。新色や人気色は注文が集中するため、こだわりがないなら定番色のほうが早い場合があります。

そしてオプション。メーカーオプション(工場で組み付ける装備)は生産段階で仕様が固定されるため、選び方によっては配車のタイミングに影響します。一方、ディーラーオプション(納車前に販売店で取り付けるもの)は基本的に納期に響きません。ナビやドラレコ、フロアマットのように後付けできるものは、納期を優先するなら販売店取り付けに寄せるのがセオリーです。

ただし、これらはすべて「傾向」です。数年乗る車を納期優先だけで決めて、後から後悔する人もよく見てきました。色と駆動系だけは、待ってでも欲しい仕様を選んだほうがいいというのが私の考えです。

見落としがち:納車待ちの間に今の車は値下がりする

中古車は「1日でも新しいほど高い」原則

中古車の価値は、基本的に時間の関数です。年式が新しく、走行距離が短く、車検が長く残っているほど高い。これは業者オークションの評価でも、買取店の査定でも変わりません。

ここで重要なのは、値下がりが「じわじわ」ではなく段差状に起きることです。年式の区切りをまたいだ瞬間、走行距離の節目を超えた瞬間、車検が切れた瞬間に、相場がストンと落ちる。中古車を探す側が「5年落ちまで」「5万km以下」といった条件で検索するため、その境界を越えると需要そのものが減るからです。

ノマドの納車待ちが厄介なのは、この段差を「待っているだけ」でまたいでしまう点にあります。何も悪いことをしていないのに、査定額だけが静かに削られていきます。

半年〜1年でどれくらい価値が下がるか(車種別の傾向)

下がり方は車種によってまったく違います。あくまで一般的な傾向として整理すると、こうなります。

  • リセールが強い車(ジムニー、ランクル系、アルファード、ハイエースなど):1年での下落は緩やか。ただし相場が高い分、下がるときの金額は小さくない
  • 売れ筋の軽・コンパクト(N-BOX、タント、ヤリスなど):タマ数が多く、年式と距離の影響を素直に受ける
  • 大型セダン・ミニバンの不人気グレード、輸入車:1年で二桁万円単位の下落もめずらしくない

走行距離については、査定実務でも「1万km・5万km・10万kmを目安に評価が下がる」という見方が一般的とされています(出典:ネクステージ「車の査定額は走行距離によってどう変わる?」)。年1万km前後が標準的な使い方と見られているため、納車待ちの1年でちょうど節目をまたぐ人が非常に多いのです。

🔧 整備士のひとこと

査定で価値が下がるのは「見た目が古くなるから」ではありません。買い取る側は、その車を再販するまでに必要な整備費用を先に見積もって減点しています。5万km前後ならタイヤ・ブレーキパッド・バッテリー、10万km前後ならタイミング系の部品やATF、足回りのブッシュ類まで交換対象に入ってきます。つまり距離が伸びるほど「仕入れ後に金がかかる車」になるため、その分だけ買値が下がる。整備側から見ると、査定額の下落はきわめて合理的な計算の結果なんです。

整備士視点:年式の節目・車検の有無で下がり方が変わる

整備の現場から見て、価格が動きやすいポイントは決まっています。

3年目・5年目・7年目の車検です。初回車検(3年)までの車は「ほぼ新車扱い」で高値がつきます。5年目を過ぎると消耗品の交換時期が重なり始め、7年目以降はゴム・樹脂部品の劣化が査定でも見られるようになります。

そして車検残。車検が1年以上残っている車と、あと2ヶ月で切れる車では、買い取り後にかかるコストが違うため査定にも差が出ます。ここを知らずに「車検を通してから売れば高く売れるだろう」と考えて、逆に損をする人が本当に多い。これは次の章で詳しく書きます。

結論:今の車を「先に売る」か「納車まで乗る」か

ここが本題です。ノマドの納車待ち期間をどう乗り切るかは、大きく2パターンしかありません。

パターンA:先に売って、つなぎの車で乗る

納期が長いと分かった時点で今の車を売り、その間は安い中古車、家族のセカンドカー、カーリースやカーシェアでしのぐ方法です。

最大のメリットは、今の相場のまま現金化できること。値下がりのリスクをそこで止められます。走行距離も止まるので、5万kmや10万kmの節目が目前に迫っている人には特に効果が大きい。

デメリットは、つなぎの手段にお金がかかることです。10万円台の中古車を買っても、名義変更・自賠責・任意保険の切り替え、売却時の手間まで含めると、決して「タダで空白を埋められる」わけではありません。

パターンB:納車直前まで乗ってから売る

一番多いのがこのパターンです。生活が途切れないので精神的にラク。通勤で毎日使う人、群馬のように車がないと生活が成立しない地域では、現実的にこれ一択という人も多いはずです。

デメリットは明快で、待っている期間の値下がりを全部自分が負担すること。1年待てば1年分、2年待てば2年分です。

それぞれのメリット・デメリット

選択肢メリットデメリット
先に売る値下がり前に高く売れるつなぎの車が必要
納車まで乗る車の空白期間がないその間も値下がりが進む

整備士のおすすめ判断基準

私の判断基準はシンプルです。次の3つに当てはまるなら「先に売る」を検討する価値があります。

  1. 納車までに車検を1回はさむ(車検費用と値下がりのダブルパンチになる)
  2. 納車までに5万kmまたは10万kmを超える(段差で落ちる)
  3. 値落ちの大きい車種に乗っている(輸入車、大型ミニバン、不人気グレードなど)

逆に、リセールの強い車で、車検も距離の節目もまだ先なら、無理に急ぐ必要はありません。「乗れるうちは乗る」で問題ないケースも多いです。

いずれにしても、判断の材料は今の愛車がいくらで売れるかという数字です。これが分からないまま「なんとなく納車まで乗る」を選んでいる人が、あまりにも多い。

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損しない売却タイミングの見極め方

車検が近いなら通す前に売る

これは整備士として、何度でも言いたいポイントです。

車検を通してから売っても、支払った金額がそのまま査定額に乗ることはまずありません。

車検には法定費用(自賠責・重量税・印紙代)と整備費用がかかります。買取業者から見ると、車検残は確かにプラス材料ですが、業者は自社で安く車検を取れる立場です。ユーザーが10万円払って取った車検が、査定では数万円分の評価にしかならないことは普通にあります。

納車が車検満了の少し後になりそうなら、通すか売るかをその時点で必ず比較してください。ノマドの納期が「2027年◯月」と案内されていて、車検が2026年秋に切れるなら、車検を通して1年半乗るのか、先に売って別の手段でつなぐのか。ここで数十万円の差がつきます。

🔧 整備士のひとこと

車検前に「どうせ売るから」と整備を省くのも考えものです。エンジン警告灯が点いている、明らかな異音がある、タイヤがスリップサインに達している——このあたりは査定でしっかり減点されます。ただし、減点額より修理代のほうが高くつくケースがほとんどなので、直してから売るより、そのまま出して正直に伝えるほうが得になることが多い。例外は消耗品レベルの軽微なもの。切れた電球、空気圧、ワイパーゴムのような数百円〜数千円で直る箇所は、印象面でも直しておく価値があります。

走行距離の節目(5万/10万km)を超える前に動く

先ほど触れたとおり、走行距離は5万km・10万kmといった節目で評価が変わりやすいとされています。今4.6万kmで、通勤で月800km走る人なら、あと4ヶ月ほどで5万kmです。ノマドの納車が1年後なら、確実にまたぎます。

やることは簡単で、今の走行距離と月間走行距離から、節目に到達する月を計算しておくだけ。この1回の計算で、売却判断の精度が一気に上がります。

ノマドの納期が確定してから逆算する

抽選結果や販売店からの案内で、おおよその納車月が見えてきたら、そこから逆算してスケジュールを組みます。

  • 納車の3〜4ヶ月前:相場を確認、査定を受けて金額感を把握する
  • 納車の1〜2ヶ月前:売却先を決めて条件交渉
  • 納車の2週間前〜当日:引き渡し日を納車日にできるだけ寄せる

買取業者の査定額には有効期限(1〜2週間程度が一般的)があります。納車の半年前に取った査定額のまま話が進むわけではないので、実際の売却交渉は納車時期が固まってからで構いません。ただし相場の把握だけは早めに。判断の土台になる数字なので、これは今すぐでもいいくらいです。

今の車を高く売るための準備

相場を先に把握しておく(最重要)

準備の9割はこれです。

ディーラーで下取りを提示されたとき、その金額が高いのか安いのか、判断できるのは相場を知っている人だけです。ノマドの契約時に下取り額を提示された人も多いと思いますが、下取り額は値引き交渉とセットで動く数字なので、単独で見ると実態が分かりにくい。買取相場という「外の物差し」を持っておくことで、はじめて比較ができます。

洗車・記録簿・純正パーツの準備

整備士として断言できるのは、整備記録簿がある車は、査定の場での説得力がまったく違うということです。「オイル交換をきちんとしてきた」と口で言うより、記録簿を1冊出すほうが早い。走行距離が多めの車ほど効果があります。

準備しておきたいものを挙げておきます。

  • 整備記録簿(点検整備記録簿・ディーラーの整備明細)
  • 取扱説明書、スペアキー(2本目がないと減点対象になりやすい)
  • 純正パーツ一式(社外ホイールやマフラーに換えている場合、純正品があるかで評価が変わる)
  • スタッドレスやアルミなど、付属品として一緒に売れるもの

洗車は「劇的に上がる」ものではありませんが、車内の私物を片付け、足元マットを洗い、灰皿やドリンクホルダーの汚れを落としておく程度は必ずやってください。査定士も人間なので、大事に乗られてきた車かどうかは第一印象で判断されます。傷を隠すためのコンパウンド磨きや、消臭剤で臭いをごまかす行為は逆効果です。プロは見抜きます。

一括査定の電話攻勢を避ける方法

相場を知るために一括査定を使うのは有効な手段ですが、申し込んだ直後から複数社の電話が鳴り続けるのが最大のストレスです。仕事中に何件も着信が入り、その対応が嫌で売却自体を先延ばしにしてしまう人を何人も見てきました。

回避策としては、電話連絡が1社に限定されるサービスを使う、申し込みの時間帯を調整する、連絡手段をメール希望にできるサービスを選ぶ、といった方法があります。納車待ちという長期戦だからこそ、ストレスの少ない方法で相場だけ先に押さえておくのが賢いやり方です。

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よくある質問(FAQ)

Q1:契約したらすぐ今の車を売るべき?

全員に当てはまる答えはありません。判断材料は「納車までに車検をはさむか」「距離の節目を超えるか」「値落ちの大きい車種か」の3点です。3つとも当てはまるなら早めに動く価値が高く、どれも当てはまらないなら納車直前まで乗る選択で問題ありません。ただし相場の確認だけは、契約直後にやっておくべきです。数字がないと比較のしようがありません。

Q2:納車が延びたら売却も待つべき?

売却時期は納車日に合わせるのが基本なので、納車が延びれば売却も後ろにずらすのが自然です。ただし、延びた結果として車検や距離の節目をまたぐことになるなら、そこで判断をやり直してください。納期が延びるたびに「売り時の再計算」をする——これが納車待ち期間の正しい過ごし方です。

Q3:今の車がジムニー(JB64)なら高く売れる?

私自身JB64に乗っているので実感としてありますが、ジムニーは中古市場での需要が非常に強く、年式や距離が進んでも値落ちが緩やかな車種の代表格です。逆に言うと、値下がりのスピードが遅い分、「納車まで乗る」を選びやすい車でもあります。

ただし、ノマドとJB64は用途が近く、乗り換え後にJB64を手放す人が多くなれば市場の供給が増える可能性もあります。強い相場が永久に続く保証はないので、他車種より慎重に相場を見ておいて損はありません。

Q4:ローンが残っていても乗り換えできる?

できます。ローン中の車は所有者がローン会社やディーラーになっているケースが多く、売却時に残債を精算して名義を移す手続きが必要になります。

ポイントは、査定額が残債を上回るか下回るかです。上回れば差額が手元に残り、下回れば不足分を現金で入れるか、新しいローンに上乗せする形になります。上乗せは月々の負担を増やし、ノマド納車後の家計を圧迫します。値下がりが進むほど不足額は大きくなるので、ローン残債がある人ほど「早めに相場を知る」意味が大きいと言えます。

まとめ|ノマドを待つ間の「売り時」で数十万円変わる

最後に要点を整理します。

  • ジムニーノマドは2026年1月30日に受注再開。1月30日〜2月28日は納車順を決める抽選申し込み期間で、3月1日以降は通常受注(スズキ公式案内)
  • 納期の目安は、抽選の早い順で2026年8月末〜9月頃から順次、順番が後ろだと2027年2月以降。3月以降の通常受注は2〜3年という見方もある
  • 待っている間も今の車は値下がりし、年式・走行距離・車検の節目で段差的に落ちる
  • 「先に売る」か「納車まで乗る」かは、車検・距離の節目・車種の値落ち幅の3点で判断する
  • 車検を通してから売っても、かけた費用は査定額に丸ごと乗らない
  • 整備記録簿・スペアキー・純正パーツを揃えておくと評価が変わる
  • 納期が延びたら、そのたびに売り時を再計算する

ノマドの納車を待つ時間は、ただ待つだけの時間にもできますし、次の車をより良い条件で迎える準備期間にもできます。差がつくのは車の知識ではなく、段取りです。

そして段取りの第一歩は、いつだって同じ。まず今の車の相場を知ることです。数字が分かれば、先に売るか乗り続けるかは自然と決まります。納車の日を気持ちよく迎えるために、今日その一歩を踏み出してみてください。

ぺんぺん自動車整備士

🚗 ノマドを待つ間に、今の車の価値を知っておこう

納車を待つほど今の車は値下がりします。まず相場を知っておくだけで、売り時の判断が変わります。
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ぺんぺん自動車整備士
ぺんぺん自動車整備士 群馬県在住。ジムニー(JB64)乗り。 ディーラー整備士として数千台の車と向き合い続けた現場経験を、 あなたのカーライフに役立てるために発信中。